Ramones - Ramones

Ramones  世の中でパンクバンドを自称するバンド、またはガンズのようにパンクからの影響を公言しているバンドの数々がほぼ必ず挙げるバンドが泣く子も黙るラモーンズ。結成は1974年で、アルバムデビューは1976年4月。当時の新鋭レーベルSireからのリリースでアメリカにしては思い切った売り方をしたものだ。イギリスのパンクの雄と呼ばれるセックス・ピストルズのデビューが1976年11月なので、まだロンドンでピストルズのギグが駆け出しの頃、即ちパンクが発足しつつある頃にニューヨークから既にパンクという言葉ではないが、3コードロックンロールでエネルギーをぶつけるサウンドを奏でるバンドが存在していたってことだ。

 そのデビューアルバムがその後のラモーンズの全てを物語っていて、正直言ってどれもこれも同じ曲にしか聴こえないくらいにワンパターン化したサウンドは正にラモーンズの象徴。それでも代表曲となっている「Blitzkrieg Bop」ってのは誰も聴いたことがあるだろう。ホラ、あの「Hey Yo! Let's Go!」ってヤツ。故ジョー・ストラマーのライブでも流れていたし、ハノイでもブライアン・セッツァーでも流れてたな。メンバーはさすがにニューヨークのアンダーグラウンドシーンで育っているだけあって実は結構なインテリって聞いてるし、もちろん全員兄弟ではなく芸名で、名前の由来は結構可愛くてさ、ポール・マッカートニーがアマチュアの頃リバプールでポール・ラモーンっていう名前で演奏していたっていうのを知って、ラモーンという名前を全員に付けようってことになったらしい。ウソかホントか知らないけど、健気だなぁとふと思う。だからラモーンズって結構狙って出来上がっている部分もあるんだなぁ、と。ファッションにしても髪型にしても音楽性にしても統一感こそが、って感じだしね。それでも凄いことに決して変わりはないんだけどさ、そうやってアピールしてこそ、ってのがちょっとアメリカ的かな。

 まあ、それはそれとしてもファーストアルバムもリマスターされてるくらいだし、他には多分「Ramonsmania」「Ramonesmania 2」があれば全て事足りてしまうんじゃないかと思う。まだパンクと呼ばれる前の最高に激しいロックンロールがここに詰まっているっていう聴き方だね。ポイントはちょくちょくと3曲くらいづつ聴くこと。そうすると常にかっこいいって思えるから(笑)。それ以上聴くと飽きる、かな。

Ramones - Leave Home

Leave Home (Dlx)   ラモーンズの地味なセカンドアルバム「Leave Home」。地味といわれるけど、誰がそう言うんだ?全然地味じゃねぇし、普通にラモーンズ節だし、キャッチーだし、まぁ、名作とは言わないけどラモーンズだろ。ジョニー・サンダースのライブが結構キツイのあったからラモーンズでも、なんて思って聴いたんだけど今度はウマすぎてロックさが欠けてるように聴こえちゃうんだよな。本来はこれくらい音がしっかりしてバンドの演奏を纏めて聴きやすく仕上げてあるべきなんだが、ジョニー・サンダースのがあまりにもラフだったからギャップがありすぎて…(笑)。

 もちろんロックじゃないハズはないんだが昔からこのこじんまり纏まってしまっているさすがのアメリカサウンドってのが好きじゃなくて聴かなかった。もっとラフで危なっかしいのが好きだったからだと思う。先にラモーンズを聴いてたらこっちだったかもしれん。そのヘンは運だ。ただ、当然色々聴くようになってからラモーンズの面白さとか、本質的にはサーフ・ロックというギャップもわかってきて、シーナ&ザ・ロケッツがラモーンズのモノマネだったってのもよくわかったし(笑)、今じゃ実に快適に聴いているくらいだ。ただ、昔から思ってたが、どの曲も同じってのは変わらんな〜、アルバム半分くらいから惰性で聴いている感は否めない自分であった…。


 どうにもチープなローファイサウンドばかり聴いてきてやや辟易してきてしまったのでどうせならもっと強烈なローファイの原点を聴いてみた方が気晴らしになるだろうと言うことで全てのローファイとパンクの原点ともなるラモーンズの登場です。ホントはこの流れだと有名な「エンド・オブ・ザ・センチュリー」っつうアルバムが一番向いているんだが、既に書いているので「Rocket to Russia」にするか、と思ったらこれもまた書いてるんだ(笑)。一番サーフィンロックしている感じだから面白いんだけどな、と。ならば…初期に遡ろう、ってことで一般的にはやや知名度が低くなるかもしれないセカンドアルバム「リーヴ・ホーム」を取り出してみた。

 1977年にリリースされた「リーヴ・ホーム」はセカンドアルバムながらも衝撃のファーストアルバム「ラモーンズの激情」から8ヶ月後くらいリリースされているんだから当時のエネルギッシュな姿勢が伺えるってなもんだ。それでいて作品の質はまったく文句のないくらいにファースト「ラモーンズの激情」とサード「Rocket to Russia」をつなぐアルバム…って当たり前なんだけどさ(笑)、ファーストの「ラモーンズの激情」からするとかなり衝撃度が落ち着いていて、ってもそれはラモーンズ風のビートに変わってきているワケで、後追い世代的にはサーフロックとパンクロックの融合が果たされてきてて、思い切りメロディアスで軽快なビートロックにも聴こえる。当時は硬派なパンクバンド風だったけどラモーンズって格好が違ったらかなり異なる路線のバンドに捉えられたんだろうな、とも思う音楽性の楽しさがある。昔は「Ramones Mania」くらいでまとめて聴いていたもんだからそれぞれの曲の違いがわからないくらいに同じ曲ばかりが入っているバンドっつう印象で、もっと単調なバンドと思ってたんだけど、こうしてアルバム単位で聞くようになってからはラモーンズというバンドの本質がちょっとわかってきたかもしれない。

 …ってもアルバム通して聴くとやっぱり似たような曲が多いのは事実で、3コードにこだわったからこその結果なんだが、それでもこの軽快な軽やかさって今でも通じる新鮮さがある。最近のバンドはこの系統にもう少しだけエレクトロなエッセンスが入っただけなんじゃないか?ってくらいの完成度。好んでローファイだったワケじゃなくて必然的にローファイになっていただけなんだろうが、エネルギーが違うよ。やっぱさ、作られたロックと生まれ出てくるロックはまるで違う。自分はやはり生まれでてくるロックのエネルギーが好きだ。

 そういえば昔からアナログで聴いていた時の曲順と今CDで聴ける曲順って違うんだな。なんつっても「シーナはパンクロッカー」が入っていないっつうのはどうよ?ま、それでもあまりアルバムの印象に変化はないんだが…。それにしてもホントにこんだけ軽やかに爽やかに聴かせるパンクバンドもないよなぁ。正にビーチボーイズのパンクバージョンって感じだもん。



Ramones - Rocket To Russia

ロケット・トゥ・ロシア+5  日本のロックバンドからは一端離れてブルーハーツの直接的パンク的表現の元はと言えばもちろんザ・クラッシュとザ・ラモーンズに尽きる、だろう。そういえば…ってことでニューヨークのラモーンズまでひとっ飛び。ファーストアルバム「ラモーンズの激情」はパンクスのバイブルとして十二分に語られている節があるが、それ以外のアルバムってなると結構まともな解説が少なかったりする。自分自身探してみて思ったけど、ラモーンズって結局きちんと整理して制覇しているファンって少ないのではないだろうか?どうしても似たような音でアルバム作るから、そしてベスト盤さえ手に入れればそれでヨシ、的な側面もあるから、50sのロカビリーなんかもそうだけど、リスナーはアルバム単位で音を考えないってのがあるのかもしれない。

 ところが自分的にはどうしてもアルバム単位でしか物事を考えられない、というかそうしないと収集つかないのでどうしてもアルバム単位で考えるんですな。ってなところからちょこっと調べまして…、いや、ブルーハーツのあの攻撃性とポップでキャッチーなメロディセンスってのをね、どうなんだろ?と。元々のニューヨークパンクってなるとそんなにキャッチーなものでもなかったしさ。んでも、待てよ?と。そしたらやっぱりありました…ってか、自分が深く聞いたことがなかったので知らなかっただけなんだけど、ラモーンズがしっかりとそういうキャッチーでポップなパンクアルバムを出してました。

 三枚目となる「ロケット・トゥ・ロシア」って作品で、タイトルでロシアのライブ盤か?なんて思ってた自分が間違いっ!多分ラモーンズ史上で最もポップでキャッチーである意味バラエティに富んだミュージシャンらしいアルバムかもしれない。どれもこれもが3分以内ってのはもちろんポップな要素だけど(笑)、決して速い曲があるワケじゃなくってホントにウケやすいメロディがキャッチーに歌われている。ある意味、これは反抗的なロック、ではない。しかしラモーンズだからなぁ…許されるんだろう。そんなアルバムがこの「ロケット・トゥ・ロシア」という作品。

 …ちょっと驚いた。ラモーンズってもっとストレートなパンクだけかと思ってたから、こういうキャッチーな作品に出会うと思わなかった。ある意味収穫。これで今のアメリカのパンクバンドのルーツというかメロコアの流れってのがわかってきた。しかし、77年にこういう音出してて、それ以降あまり出てこなかったのは単にアングラだったから?最近になってメジャーに出てきたのは何でだろ?面白いのぉ…。そんなことで、新鮮な発見がたっぷりあったラモーンズの「ロケット・トゥ・ロシア」。やはりベスト盤だけではわかりにくいバンドの姿がよく見えました。なんてったってビーチボーイズの「Do You Wanna Dance」までもカバーしていて、しかもそれが全くアルバム内で浮いていないってくらいなもんだ。

Ramones - It's Alive

It's Alive   The Beach Boysの流れを汲む、と言うか、その影響を自分たちの他の影響と併せて打ち出してきたオリジナルUSパンクの代表格ラモーンズの必殺ライブアルバム「It's Alive」。1977年の年末にロンドンでやったライブをフルで記録してるのかな?のライブアルバムで、映像も一部残ってるヤツで、それもまたYouTubeで簡単に見れるけど、何せ音の方が超凶暴なサウンドと勢いで、正にパンクなライブで、これこぞラモーンズと言わんばかりのハイテンションなライブなので存分に発散できる…いや、発散ってかホント、吹っ切れる。

立て続けに行き着く間もなく3コードが繰り広げられ、間髪入れず「1.2.3.4!」で始まる同じような次の曲、これの繰り返しでだんだん麻痺してトランス状態になってくるという始末、曲が良いとか悪いとかどうでも良いんです、そんなこと、ただひたすらに畳み掛けていくというライブ、この気持ち良さがラモーンズだ。そしてコード進行は王道な3コードもあるが、サーフィンロック的な展開も武器としている…のはまだこのライブ時点では多くないけどさ。音が凶暴だからパンクだけど根っこは見事なその手の音で出来上がってることがわかるだろう。

 参ったなぁ…、ほんとにとんでもないライブ盤だよ、これ。勢いってのは正にこのことを言う。目の前でコレやってたらたいていの奴らはブチ切れるんじゃないだろうか?ラモーンズがどんだけ世界的に影響を及ぼしたかを知ってても、このライブを聴くとぶっ飛ぶし、納得もする。こんなの見てたら絶対影響受けるだろ。ライブ名盤多いと言えどもここまでのライブ名盤は多分見当たらない。脳天直撃のパワーを受け止めて聴く体力がある時じゃないと聴けないけど、聴くといつだってハイテンションでゴキゲンです。音楽性云々、ジャンル云々の前に圧倒的ロック。この姿勢が完全にロック。最高にロック。


Ramones - End of the Century

End of the Century  ニューヨークパンクの代表格として持ち上げられることばかりのラモーンズの意外性を知ったのはそんなに古い話ではない。元々アメリカのパンクにはさほど興味を持っていなかったので最初のアルバム「End of the Century」を聴いてそういうもんだよな、くらいの感覚しかなかったのだ。テレビジョンにしてもちょっと違うしさ。芸術的なんだよね、NYパンクってさ。だからちょっと深みにはハマらなくってね。ところが何の気なしに耳に入ってくる音楽の中で「へ?」ってのがあったりする。それがラモーンズの「ロックンロール・レイディオ」だったワケだ。

 流れてきた時に誰だこれ?って思ったもん。ラモーンズ=3コードパンクのみ、なんて印象があったからまさかこんなにポップでキャッチーで快活なサウンドが出てくるとは思わなかったのだ。それから気になってアルバムを聴くことになるのだが、1980年リリースの「End of the Century」という作品の一発目だ。ちなみにあちこちで目にしていると「End of the Century」というアルバムのプロデューサーはフィル・スペクターってことで、ラモーンズ好きな方々からはこの「End of the Century」というアルバムはあまり好評ではないらしい。もちろんラモーンズらしさよりもフィル・スペクターの個性のほうが出てしまっているからという理由らしいのだが、そりゃそうだ。聴いてて思うが、こんなのラモーンズだけじゃ出てこないだろ?って思うくらいにポップでキャッチー。それでもリスナーを惹き付ける価値は十分にあるワケで、実際に自分も引っ掛かったしさ(笑)。

 なんつってもアルバム「End of the Century」を聴いて「へ?」って思ったもうひとつの理由が「Chinese Rock」です。ジョニー・サンダースは好きなので結構アルバム聴いたりしてたから「Chinese Rock」ってジョニサンのカバーかいな?と思ったらどうも元々がディー・ディー・ラモーンとテレビジョンのリチャード・ヘルで書いた曲らしくてさ。それをラモーンズでは取り上げることなかったのでリチャード・ヘルが絡んでたHeartbreakersがやることになり、そこにジョニサンが合流したのでジョニサンの代表曲のように定着してしまったという…。それからこの「End of the Century」でラモーンズが取り上げたってことのようで、なかなか狭い世界の複雑な事情。しかしラモーンズってパンクっつうよりもサーフィンロック的な方が強いんじゃないか?って気がする。しかしこうしてラモーンズを聴いているとハノイ・ロックスの陰がチラチラと浮かぶので、ハノイは相当な影響を受けていたんだなぁと改めて実感。「End of the Century」ってアルバムだけかもしれないけどさ。

 何となくラモーンズが世界で愛される理由がわかってきた。あのルックスとワンパターンの曲ばかりのイメージがこんなに多彩で可愛らしい曲をやってるってのが不思議。そしてその能力を存分に引き出してしまったフィル・スペクターもさすが。

Ramones - Road to Ruin

Road to Ruin (Dlx)  先日何気なく映画を見ていたら教師が車に乗って大音量でロックを聴きながら走っているシーンがあって、ボリューム上げてみれば案の定それは「R&R High School」だったりして苦笑いした。車から降りたらその教師が来てるTシャツがRamonesのだったんだが(笑)。それと、自分の中で何故かビーチボーイズとラモーンズって繋がっててさ…、ラモーンズがやった「Do You Wanna Dance?」のせいだと思うけど、ラモーンズってサーフロックバンドでもあったのか、っていうね、パンクバンドとしてか思ってなかったのが、それでもう全然変わっちゃってさ、それ以来ラモーンズちゃんと聴くようになったもん。それまではベスト盤聴いても何聴いても同じ曲ばかりで面白くないなって思ってたし。それが、今じゃ結構聴けるバンドになってて…、普通は年取ると聴かなくなるバンドなんだろうけど自分は逆だったりしてね、こんなに聴きやすいバンドだったのかっつう驚きかな。

 1977年にリリースされた4枚目のオリジナルアルバム「Road to Ruin」だが、この頃って全然売れないバンドでドサ回りばかりしてたラモーンズ、最初期こそパンクなんだけど以降ずっとキャッチーなR&R路線を貫いていて、ここに来て更にパワーポップ的な側面が強くなってきて、音の作りも結構バランスよくなってるし、立派なメジャー級サウンドだから売れないのもおかしな話だけど、この頃の表舞台はブラコンとディスコだからねぇ…しょうがないか。しかしこっちはしっかりと歴史に残るバンドになってるワケで、良いものは時間をかけて認められるという定説通りかもしれん。さりとて、ラモーンズ自体はさほど変わった事をしているワケでもなく、いつも通りのR&Rを普通に奏でて歌っているだけで、聴きやすさが増した感じはあるけど、そんなに変化したワケじゃない。だから何をどうって程のアルバムじゃないのかもしれないけど、この一貫したスタイルにキャッチーさが入ってきて次作「End of the Century」で超開花という感じだろうか。

 「Road to Ruin」もかなりお楽しめるアルバムだし、その前も後も…結局ラモーンズってどれ聴いても楽しいんじゃないか。バンドメンバー的にはこの作品からドラマーが代わったってことで心機一転というのはあったらしい。ただ、まぁ聞いている分にはあまり音に変化は目立たないんじゃないかな。しかし王道のアルバムの展開が心地良いです。R&Rからミディアム、バラード…なんてね。


Television - Marquee Moon

マーキー・ムーン<SHM-CD>  もうひとつのニューヨークパンクを代表するバンドの筆頭として一般的にはトム・ヴァーレインの率いるテレビジョンが挙げられるんだけど、個人的には結構不思議。サウンド的にはどちらかと言えばパンク以降にイギリスで流行することとなるいわゆるニューウェイヴ(古い単語だが・・・)に通じていくサウンドで、ある意味その最先端だったワケだが、パンクか、となるとちょっと違うのでは?って感じ。もちろん歌詞にこめられるメッセージ性を中心に捉えれば十分パンクで、トム・ヴァーレインという人がパティ・スミスと大いに関係のある人なので、ニューヨークパンクとして括られるのはわかるんだけどね。それにしては上手いし、音楽性もしっかりしている。名盤と呼ばれる「Marquee Moon」が代表作、っつうか二枚しかないんだけど、この音を聴くと改めてその斬新な取り組みに驚かされた。

 先にも述べたように、後のイギリスでブームとなるニューウェイブサウンドの原点とも言える透明感のあるギターの音色、そしてバンドサウンド全体でもかなり透明感のあるおしゃれな音にポップでキャッチーなフレーズがふんだんに使われているので、当時では斬新だったと思う。ライブではどのようなスタイルだったのか知らないのでとりあえずスタジオ盤を聴いた限りのことしか書けないけど、好きなファンには異論があるのかもしれないね。「Marquee Moon」のリリースは1977年といわゆるニューヨークパンクの流れからはかなり遅めだったにもかかわらず、やはりトム・ヴァーレインのカリスマ性が凄かったようだ。ある意味ヴェルヴェッツ直系のサウンドとも言える。発展系、なのかな。初めて聴いた時にはバンドの印象と聴いた音とのギャップがあって、もっと激しいのを期待していたからかもしれないけど、少々肩透かしを食った。ただ、年と共に何回か聴き直していくとその新鮮さがわかってきた作品で、なるほどロック史に名を残すはずだなぁと納得。

 パティ・スミスの「Horses」のデラックスエディションのディスク2に収録の2005年のライブにも参加していて、伝説となっていた頃にパンクの女王とアングラの帝王的なトム・ヴァーレインが一緒に演奏するってのはやっぱり興味を覚えたね。確か未発表曲を集めたアルバムなんかもリリースされたみたいで、一時期再燃していたのが記憶にある。そこまで追いかけてはいなかったんだけどさ。しかしロックってのはやっぱりイギリスで発展していったものという事実は知っていたけど、こんなところに原点があったってのはニューヨークってのは奥が深いなぁと感心。イギリス人はそれを取り込んで新しいものにして吐き出すのが上手いんだよな。

Talking Heads - Remain In Light

Remain in Light  時代はパンクムーヴメントも去りゆく中、新たな波=ニューウェイヴが台頭してきた頃、ボウイとのコラボレーションに一区切り付けた変人ブライアン・イーノはプロデュース業に精を出しており、何をしても良い時代が到来するや否や新たなる領域へ手を付け始めた。それがトーキング・ヘッズのプロデュースとなるワケだ。

 …とは言えどもバンドの方もパンク全盛時代に出てきたものはいいけれど、全くうだつの上がらない状態でアルバムを数枚リリースしていたが、そんな状態のバンドに守護天使のように(…かどうかは知らないが、もしかしたら凄い邪魔者だったかもしれないけれど)現れたイーノは彼等のサウンドと姿勢を気に入り、アルバムのプロデュースを買って出たようだ。それがトーキング・ヘッズ史上最も有名なアルバム「Remain in Light」だ。そうだね、大体のロック本には名作アルバムとして書かれているし、トーキング・ヘッズの最高傑作とも言われている。

 うん、まぁ、そうだろうなぁ。でもさ、コレ、イーノのプロデュース…、ま、そこはバンドの才能を引っ張り上げたっつうトコでさすがなものなんだけど、そこにさ、エイドリアン・ブリューを入れてしまうところがミソ。おかげでバンドがもの凄いことになってしまったのだ(笑)。全体的にはイーノがやりたかったことなのかな…、呪術的とも言えるアフロリズムにデジタルチックなビートっつうかサウンド。で、ブリューのギター…効果音ギター…、そしてデヴィード・バーンが曲とは無関係に書き溜めていたメロディをぶち込んだとんでもなくパンク…と言うのかニューウエイヴというのか、滅茶苦茶実験的な作品なわけで、背景と歴史的には名盤として語られるべきだが、普通に聴いていた時には全く興味のもてないバンドで拒絶反応だったね。ま、今でも好きじゃないけど、やってるコトってのはイーノという人が見えてくると納得できるものなので、まぁ、アリかな、とは思う。う〜ん、まだまだまともに聴くには時間かかるかな。ブリューっつうのもねぇ、あまり好みではないギタリストなのだが、凄い才能はある人だし、やっぱりとんでもないギタリスト。この後ブリューってさ、ソロアルバムとかクリムゾンとかで歌うんだけどデヴィッド・バーンなんだよな…、この頃の影響はもの凄いんだろうな。  …ってなことで、あまりにも若かりし頃に聴いたが故に全く理解できずに十数年以上経ってしまったこの作品にこんな形で再会するのも何だが(笑)、80年代以降の英国ロック界に与えた影響はとてつもなく大きいことは事実。

Blondie - Autoamerican

Autoamerican  ニューヨークパンクを代表するバンドってどんなんがあるのかな、なんて調べているともちろんラモーンズやパティ・スミス、テレビジョンやトーキングヘッズあたりが出てくるのはわかるのだが、多くのところではブロンディが登場するのだな。いや、まぁ、生い立ちからすればニューヨークのCBGB出身ということで時代的にも77年なのでバッチリだったりするんだけど、実はデボラ・ハリーって1945年生まれなんだよね。即ちブロンディで出てくる頃には既に30を超えていたというワケだが、それでいてあの妖しさ…、実は大人の魅力だったのだろうか?などと思うが(笑)。

 「Autoamerican

 しかし、音を聴く限りではこのバンドがニューヨークパンクの一角を担っていたとはとても思えるものじゃないしなぁ…。あまりにもポップでキュート過ぎるだろ。日本のバンドシーンでもそういう傾向があったのは記憶に新しいが、70年代のニューヨークではすでにパンクを女の子が歌うことでキュートさを出してキャッチーなものにしてしまうという手法があったのだな。

 自分的にはギリギリリアルタイムで通らなかった頃に売れたバンドなのでそういう意味で思い入れは全然ないんだけど、やたらと「Call Me」なんてのは流れていたから知ってたりする。バックの音だけを聴いていてもあんまりニューヨークっぽくないし、ガレージっぽくもないから不思議だなぁと思う。それも単にデボラ・ハリーの美貌とインパクトに視線が行ってしまうからだろうか。う〜ん、やっぱマジメに聞き込むという面に於いては興味を持てないバンドかもしれない(笑)。

 こないだ再結成して日本に来てライブをやったみたい。60過ぎたおばあさんのライブで熱狂するのだからこれもまた怖い構図だなとは思うが、それもロックなのか。あぁ、ニューヨークパンクの悲愴さからかけ離れた人生の悲愴さになってしまった…。いかんいかん。まだプリプリころのブロンディをキュートに楽しもう〜。

Sonic Youth - Goo!

Goo  遅れてきたパンクス=オルタナティヴロックとして定義されたのは1990年代になってから、それは多分にREMニルヴァーナのハードでグランジなスタイルによるものから同一視されてきたものだが、ニューヨーク出身の面白いバンドがひとつある。ソニック・ユースというバンドだが、そもそも1970年代のニューヨークパンク=テレビジョンパティ・スミスラモーンズなんかをリアルタイムでライブを見ていた輩がその後すぐに結成したのがこのバンドの始まり。即ちメンバーは今では50歳前後だっつうことだ。

 1990年代においても当然30代に入っていたワケなので他のグランジ系バンドなどとは大きく隔たりがあったのだ。言い換えると70年代からバンドをやるもののインディーズでのアルバムリリースレベルに留まっていて、決してメジャーには躍り出ることなくニューヨークのアートシーンからドサ回りをすることで地道なファンの拡大をしていたということだ。日本のパンクバンドにライブハウスツアーを同じようなものだろうか。しかし90年代に入ってから煌びやかなロックに終止符が打たれ、その時に退廃的なサウンドが全面に出てきたワケだが白羽の矢が立ったのがソニック・ユース。そりゃ、そのサウンドで十数年もライブを回っていてインディーズながらも実験的なアルバムを数枚リリースしていたワケだから、声かかりやすいわな、と。で、メジャー契約したのがなんとゲフィン。

 …と今なら語れるストーリーだけど当時は全然情報なくって、とある時に知り合った女の子に凄くかっこいいバンドあるよ〜って言われてCD貸してもらったのが最初でこのバンドを知った。当然すぐCD買いに行ったんだけどね。それが「Goo」ってアルバム。今でもたまに聴くけど斬新。最初からクールなノイズと実験的サウンドはするんだけどその辺が完成度高いのかえらく聴きやすいワケよ。激しく叫べ〜っていうのじゃなくて、ノイズとは言えどもホントにノイズまみれというわけでもなくって凄くバランス取れてる。ギターの音にしてもベースの音にしても全然メジャーな音じゃなくって、それがまたナマナマしくって良いんだけどさ。初っ端の「Sonic Youth - Goo - Dirty Boots Dirty Boots」とかやっぱかっこよいもん。ベース、ってそういえば女性なんだよね。で、このキムが歌も歌っているんだがヒステリックっつうか世の中ナメてる、っていうような歌い方で面白いし、パンキッシュ。パンクっつうかノイズっつうかグランジっつうかまぁ、オルタナティヴな音。これはねぇ、一時期相当聴いてたからどこかエロティックな思い出もあったりする。うん、このCD教えてくれたお姉さんね(笑)。

 この後の「ダーティ」っつうアルバムも結構聴いたなぁ。この二枚が完成度高いと思うし、今では廉価版出てるくらいだからさ。「Goo!」はデラックスエディションもリリースされているみたいで時代が一回りすると色々と面白いことあるんだなぁ、と。ジャケも良いし、音も新鮮だし、さすがニューヨークの音、というのは貫かれていると思う。